日本では、売買される住宅のうち約9割が新築ですが、米国ではほぼ8割が中古物件、英国でも約9割が中古物件、フランスでは7割弱が中古物件です。
つまり、日本人は住宅を購入するとなると、ほとんどの人が新築物件の購入を考えているのです。
年々深刻化する空家問題
しかし、2015年あたりから、団塊世代が購入した住宅のなかには、荒廃して物件周辺地域の価値を下げてしまうなど、空家問題はますます社会問題化しています。
ところが、日本では新築住宅は建設され続けてきました。今現在も、新築物件はどんどん建設されています。
平成25年における総務省統計局の調査によると、空家率は過去最高の13.5%という数字になっています。
なぜ日本人は新築を求めるのか
では日本人はなぜ新築を求めるのでしょうか?
20年で資産価値がほとんど0に近くなる日本の住宅
日本の住宅といえば、入居した途端に価値が下がり始め、築20~25年になると資産価値がほぼゼロになってしまいます。そして、築30~40年頃になると、取り壊して建て替える、という考え方が普通です。
しかし、よく考えてみると、ローンは35年で組んでいるのに、価値は20年でなくなるというのはおかしな話ではないでしょうか?極端な言い方をすれば、残りの15年間は、価値のないものにローンを支払っているということです。
日本で、「中古住宅」というと、何らかの事情で「新築の家が建てられない人が選択する」というイメージです。しかし先ほど述べた通り、海外では新築の住宅よりも中古住宅の流通の方が多いのです。
築20年で無価値の定着
戦後復興期や高度成長期に建った住宅の多くは性能が低く、「築20年で無価値」というのも、バブル崩壊までは物件価格の上昇でカバーされていたため、問題にはなりませんでした。しかし、その後、建物の質や耐久性が大幅にアップしているにも関わらず、評価方法が変わっていないのです。その当時のまま、資産価値は築年数に応じて一律に下落していきます。
空家が増え続ける理由
このように、日本人は新築を求めているので、両親が家を持っていても、自分達も新しい住宅を建てます。
そこで、単純に、ご両親が亡くなった後、生前住まわれていた住宅がそのまま空家になってしまうのです。
空家のリスクについては、前回も述べましたが、近年増え続けている空家問題は今、非常に深刻化してきています。
これからご自身の家を新築で建てる際、相続する予定の家があるのであれば、早めの段階から計画をしておくことが重要になってくるでしょう。
空家になりそうな可能性があるのであれば、リスクを避けるために早め早めに下調べをしておくことが肝心です。